金丸広和|おやじと共に歩んできた。金柑はおやじとの絆の結晶。

金柑」と聞くと、
真っ先におばあちゃんの顔が浮かんだ。

わたしは4歳だった。

おばあちゃんの家おおきな大きな木がなっていて、

その木についている小さな黄色い実を眺めながら、

「どんな味なんやろうか」
どんな食感なんやろか」

とよく考えたものだ。

手を伸ばしても届かないその実を見つめていると

おばあちゃんが、「ほれっ」っとわたしの手のひらに、その黄色い実をのせた。

「食べてみ」

ぱくっ。

「すっぱあああああ!」

それから、約25年間、“金柑”といえば、皮が少し苦くて、噛めば噛むほどすっぱい。

そんな金柑の印象を、金丸 広和(かねまる ひろかず)さんは変えてくれた。

人物紹介:金丸 広和さん

金柑と向き合い続けて約20年。

金丸農園4代目。

独自の栽培方法で皮まで甘い金柑をつくりあげる。

太陽のような笑顔がチャームポイント。

人物紹介:吹田 あやか

株式会社イツノマのライター

好きな食べ物はとうふ。

最近、中古車を買いドライブにはまっている。

キャンプ、山登り、釣り、したいこと盛りだくさん。

金丸さんの金柑農園は、海のみえる高台に佇んでいた。

「こんにちは」

宝石のような眩い光を放ち、金丸広和さんは金柑と共に笑っていた。

まさひろ。金柑のブランド名はおやじの名前

あやか

金柑って、こんな大きいんですか?みかんの種類みたい。

金丸さん

ははは!そうですね。

あやか

(金丸さん、よく笑うひとだなあ。ふふふ。)

あやか

これって一般の金柑と何が違うんですか?おばあちゃんの家の金柑は木が高くて、実はもっと小さかったなと思って。

金丸さん

種類は一緒なんですけど、水管理を徹底したら、すごくたくさん実がなるんですよ。それから、摘果作業をするんですけど。それをすごく頑張ると、こんな大きく。

摘果(てきか)・・・結実が多すぎたり,局部にかたよっていたりするとき間引きを行うこと。

あやか

あ、じゃあ、品種は同じで、育て方で色や大きさって変わるんですか?

金丸さん

ですです!

あやか

これはなんていうブランド名で出しているんですか?

金丸さん

うちは、まさひろ金柑

あやか

まさひろ!かっこいいですね!まさひろはどなたのお名前ですか?

金丸さん

おやじです(笑)

あやか

お父さまへの愛を感じます!

金丸さん

ははははは。ゴロもいいねって。

あやか

金柑はいつから始められたんですか?

金丸さん

そうっすね。これ植えたのは20年ぐらい前ですかね。

あやか

もともとお父さまが植えられたんですか。

金丸さん

ですです。

あやか

20年前……そんなずっと前から……。
金柑ってどんなサイクルで実になるんですか?

金丸さん

えーと、花が6月ぐらいから咲くんですけど、それで、実になるのは7、8月ぐらいかな。それから摘果作業をして、1月には出荷ですね。

あやか

夏ぐらいに実がなるんですね。暑い時期に摘果作業はとても大変ですね。

金丸さん

ほんとうに大変なんです。ビニールハウスのなかで余計、暑さとの戦いです。

あやか

摘果って、1本の枝に2~3個って、ちゃんと計算して残してるんですか!?

金丸さん

1本1本ちゃんと確認して実の数を調整しています。

あやか

めちゃくちゃ大変ですね。何人ぐらいで作業してるんですか?

金丸さん

2人ですかね。おやじと。

あやか

え!どれくらいかかるんですか?

金丸さん

2~3ヶ月ぐらいですかね。12月になったら水をきって、糖度をあげていきます。

あやか

もう既に綺麗なオレンジですけど、まだまだ色が濃くなるんですか!?

金丸さん

まだまだです。もっともっとオレンジになります。

あやか

この金柑たちはどこに出荷されるんですか?

金丸さん

道の駅つのや、農協さんとか。

あやか

金丸さんはECサイトでも積極的に販売されていると聞きました。

金丸さん

そうなんです。
昔からEC販売にも力をいれています。

金柑のはじまりは、思いがけないご縁から。

あやか

もともとどうして、お父さまは金柑を始めたんですか?

金丸さん

自分も弟も宮崎の農業大学に行ってました。そして、弟が果樹専攻で金柑に出会いました。

あやか

弟さんが……。

金丸さん

それで、弟の繋がりで、先生とおやじが仲良くなって、金柑しようと。

あやか

え!先生とお父さまが仲良くなったんですか!?(笑)

金丸さん

もともと先生とおやじが繋がっていて。昔、お世話になっていたみたいです。それで、久しぶりって(笑)この土地は金柑育てるのにいいねってなりました。

あやか

すごい運命ですね。

金丸さん

いやー、ありがたいご縁ですね。

あやか

今はお父さまと、家族で経営されているんですか?

金丸さん

おやじとですね。母は調子が悪くなって。

あやか

今は何代目ですか?

金丸さん

ひい祖父ちゃんからだから、4代目かな。
ひい祖父ちゃんのときは、かぼちゃやったかな。

あやか

育てる野菜って、時代で変わっていくんですね。

金丸さん

おやじが、まずビニールハウス建てて。それで、メロンも作ってました。
その次が、金柑ですね。

あやか

ひい祖父ちゃんということは……。え……100年以上前!?

ちっさい時からの夢。農家。

あやか

金丸さんは、子どものときから農家になりたかったんですか?

金丸さん

ですね。ちっさいときから。

あやか

弟さんも農家さんですか?

金丸さん

弟は千葉にいます。全然違う、氷を作る仕事をしてます(笑)

あやか

弟さんは農大に行って、農業は合わないかなってなったんですかね?

金丸さん

でしょう(笑)

あやか

金丸さんは、ぶれなかったんですか?ほんまは、こんな仕事したかったなとか。

金丸さん

多少は、これでいいんか?って思ったときもあったかな。大学卒業して、結婚したときですかね。

あやか

そうなんですか。結婚して家族を守らなくちゃと……。

金丸さん

そうですね。

あやか

それがきっかけで、ECサイトでの販売を始められたんですか?

金丸さん

頑張ってECで売る方法を勉強しましたね。
それから市場に出したり。そしたら、また違うところからお話いただいたり。そのとき、農家ってやっぱり面白いなって。

あやか

不安がなかったら、EC販売とか思いつかなかったですもんね。

金丸さん

そうですね!

あやか

EC販売は実際、いつごろ始められたんですか?

金丸さん

農家はじめて8年目ぐらいですかね。
ECは面白いですよ。直接メッセージもらえるんです。

あやか

宮崎県の方からですか?

金丸さん

いや、日本全国からで。
もっとこうしたほうがいいよってアドバイスをもらったり。

あやか

そうなんですか!お客さんと距離が近いですね!

金丸さん

そうなんですよ。
いつも気にかけてくれて。いやー、ありがたいですね。

毎年、1度きり。毎年、勝負。

あやか

金柑農家さんとして1人前になるのに、どれくらいかかるんですか?

金丸さん

そうやね、終わりがないからなあ。。。20年でも20回しか作れないから。

あやか

1回1回がとても重要ですよね。トライアンドエラーがあまりできない……。

金丸さん

はははは。そうなんですよ。

あやか

そんな環境のなかで、プレッシャーはありましたか?

金丸さん

もうやるしかない!って感じですね。

あやか

金柑の育て方は、お父さまから教えてもらうんですか?

金丸さん

おやじもまだまだ勉強してますね。いろんな人に聞いてまわったり。自然が相手なので。

あやか

どんな環境、災害が来てもいいように、対策をとっていかなくちゃいけないですもんね。

金丸さん

今年はまだ育てやすかったかな。綺麗な金柑ができました。

あやか

ほんまに宝石みたいですもん。ルビー、サファイヤ、金柑みたいな。

金丸さん

ありがとうございます!(笑)

あやか

お父さまから言われた一言で、これは心に刺さった、これを言われたから頑張れたっていう言葉はありましたか?

金丸さん

あったんですよね。でも、思い出せなくて。あー、あったんですけど。
あー、全然思い出せない。。。

あやか

(笑)え!1番大事なことじゃないですか!思い出してくださいよ!

金丸さん

なんだったかなー(笑)

あやか

……(笑)。

あやか

もう広和さんは死ぬまで金柑を作り続けますか?

金丸さん

おやじができなくなったら考えます。今66歳なんですけど。

あやか

お父さまが元気なうちは一緒にしたいですよね。

金柑は「おやじの偉大さの象徴」

Q: 金丸さんにとって「金柑」とはどんな存在ですか?

おやじの偉大さを感じるものですね。

おやじが腰の手術をして入院していた頃、

リハビリ中に、金柑の管理を任されました。

自分の思うままに管理していたんですが……

全く上手くいかず、、、

その年の金柑は実が小さく、
味もイマイチでした。

翌年、おやじの復活した姿を
もう1度しっかり見て、学んで

自分の甘さを痛感しました。

「自然と向き合うこと」
「金柑を観察すること」

そして「愛情をかけること」

おやじは、今までたくさん努力をしてきて、
この金柑を作り上げていました。

金柑を見ると、いつも感じます。 

おやじの偉大さを。

「おやじ、ありがとう」
「これからも、よろしく」

金丸 広和

おばあちゃん。金柑は、こんなに甘いんだよ。

わたしが4歳の頃におばあちゃんと食べた金柑は、すこし苦くて酸っぱかった。

広和さんのお父さんに対する愛が、皮まで甘く、一度食べたらやみつきになる金柑を作り上げている。

おばあちゃんに金柑を送ってあげよう。

甘くてとろけそうな金丸さんの金柑を。


金丸さんが育てた金柑をお届け。

「金丸農園」では都農町の風土・季節に合わせて「金柑・ミニトマト・へべす・梅」などを育てています。

大小様々な工夫を凝らし「美味しい」農作物を育てることをモットーに農業に携わってきました。

皆さまが新しい「発見=美味しさ」に出逢えるよう大切に真心込めて育ててきた農作物です。

是非、「金丸農園」の農作物をお取り寄せください。

\ 今が旬のまさひろ金柑 /

オンラインイベントのご案内

2/20(土)11:00~オンライン開催

<料理家 今井真実さんの料理教室>

農の都の、おいしい食卓。 旬を味わう

金丸さんの金柑アレンジレシピ

人口1万人の小さなまち、宮崎県都農(つの)町は、野菜やフルーツなど、農業が盛んな地域です。

2月より地元の食材の魅力や農家さんの思いを発信するために、東京で活動する料理家 今井真実(@imaimamigohan)さんとコラボレーションし、オンライン料理教室を開催します!

つの町の”旬”を、おうちへお届け。<料理教室>農の都の、おいしい食卓。

・オンライン参加者には、通常参加枠の他、料理教室で使用する食材をご自宅までお届けするプランをご用意しています。

・農家直送の旬の食材をご自宅でもお楽しみいただけます。

>>イベント詳細はこちら

次回の農家さん記事もお楽しみに!

執筆:吹田あやか
写真:松山かんき

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